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第3回 ささやかな“プロジェクトX” |
【森 慶太】
1966年静岡県生まれ。
筑波大卒。
自動車雑誌編集部を経て96年からフリーランスに。
著書に、「乗れるクルマ、乗ってはいけないクルマ」(三笠書房) 「『中古車選び』これだけは知っておけ!」(三笠書房)など。 |
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わざわざこんなコラム読んでるような人なら誰でも知ってるはずのダイハツ・コペン。「軽のオープン」でモーターショー出品時にはKOPENだったのをあらためCOPEN。「コンパクト・オープン」だそうな。昨日その試乗会にいってきたんでそのことを書こうかなと。どこがエッセイだっていう話もありますが。
いやそれがもう、よかったのよ。乗ったらコペン。てっきりウケ狙い系のおちゃらけ商品かと思ったら違った。アウディTT風のスタイルにベンツSLKやプジョー206CCみたいな自動開閉ハードトップつけていっちょあがりぃ、っていうだけのクルマではなかった。つまり、モリケータ的にはすっかりバカにしてたわけですよ。乗る前は。ごめんなさいね。
ビックリその1は、まず運転席に座った瞬間の居心地のよさ。コペンの外観の元ネタ、じゃないかと思われるところの(笑)アウディTTとはずいぶん違って、違和感が全然ない。TTってまずあの外観ありきで作られてるから、車両感覚とかけっこうムチャクチャなんですよ。コペンにはその方面のヤな感じがない。シートのかけ心地もめちゃくちゃイイ。
ビックリその2は、発進がめちゃくちゃやりやすい。エンジン横置きFFの日本車のしかも軽のマニュアルギアボックスのクルマがどうしてこんなに運転しやすいのかと思った。パワートレインのユサユサ全然出ず。スロットルペダルちょっと踏んだだけでガソリンがドバ吹きになることもなし。さらに、あとで乗ったオートマもトルコンのシャラシャラ攻撃なし。つまりイージーに滑らず。驚いた。あと、個人的には「どうやったって使いモノにゃならんよ」と思っていた4気筒660cc(コペンちゃんの場合はターボのみ)がちゃんとモノになっている。実用域のトルクとか、それなりしっかり出てて。あれまあ。
ビックリその3は車体のガッチリ感の高さおよびアシのビシッと感の高さ。それプラス乗り心地もイイ。たとえばの話、高速道路を100km/hで走ってるときの安心感はSLKなんかよりはるかに高い。「これならリッパにスポーツカーじゃん」と思いましたね。それも、2種類あるうちおとなしいほうのアシで。軽とは思えないぐらい車内が静かなこともあって、120とか130ぐらいの巡行は快適至極の余裕しゃくしゃく(ただし、エキマニやタービンの熱負荷の関係で理論空燃費でガソリンを吹いてられるのは110km/hまでらしい)。
そういうコペンちゃん、変速機や屋根の仕組みの違いに関係なく全仕様横並びで149.8万円の車両代は売ってもロクに儲からないどころかはっきり赤字の設定らしい。生産体制も、合計2万台で打ち止めにするといちばん効率のいいものになっているそうだ(つまり、2万台作ったらやめちゃうってことです)。
あとそう、驚いたといえば参考車両。その値段で2万台しか作らないクルマのために、ダイハツはダイ奮発してSLKと206CCを買ったそうです。さらに、新車じゃないけどカプチーノ(!)とビート(!)も。それ聞いてものすごく深く納得したんだけど、コペンちゃんのあの軽離れしたホンモノ感はなるほどカプチやビートにバリバリ通じるものがある。なんとエンスーな。
あとでエンジニアの人らと話してさらに強い手応えを得たことに、コペンを仕上げたチームはなーんちゃってグルマを作るつもりはどうやら全然なかった。たとえばアシの設定ひとつをとっても、屋根を閉じた(つまり車体剛性の高い)状態でドンピシャになるようにツメてあるし。逆に、開けるか外すかした状態だとけっこうアラが目立つ。あるいは、パワートレインのチューニングなんかも会社上層部の反対を押し切って日本車らしからぬマトモな(パッと乗りの印象だとむしろジミな)方向でまとめてあるし。やるね。
「わざわざ出かけていってよかったなあ」って思える試乗会、けっこう少ないんですよ。日本車の場合。今回のコペンちゃんは、その貴重なケースのひとつだった。ああよかった。 |
第2回
モリケータクイズ当選者発表!!
多数のご応募いただき誠にありがとうございました。クイズの正解と前回同様厳正なる抽選結果を発表いたします。
おめでとうございます。賞品の発送は7月1日に行います。楽しみにお待ちください!! |
<正解> VOLVO 66
<当選者>
サーブロゴ入りシャープペンシル 唐澤 昭雄 様
フォルクスワーゲンのハサミ+ペーパーナイフ(革ケース入り) 宮川 甲一 様
今回のクイズはいささか難しかったのでは!!
このVOLVO 66は、オランダのファン・ドルーナ一族が所有していたDAF社の66をベースにしたものです。DAF社はバリオマチック、つまりCVTの技術を独自に開発するなど、独立した企業でしたが、1973年にVOLVOの出資を受け1975年には子会社になった経緯があります。元々はオランダのクルマだったんですね。では、次回のクイズをお楽しみに。 |
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