ウットリ、そしてビックリ
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写真上段がシャコタン サス。下段のノーマルサスとの違いは約指1.5本分位?
ちなみに両タイプともタイアは同サイズ。 |
各種156 を体験したうちで特にものすごく強く印象に残っていて思い出すたびウットリしちゃうのは、大まかにいって以下の数点。
まず、TSの左のセレスピードで体験したノーマルサスの素晴らしさ。これがイチバン。 簡単にいって、「アルファのアシってこういうもんなわけね」ということが乗ったその瞬間からめちゃめちゃよくわかる。普段の快適さはけっこう夢のようで、ハイウェイなり峠なりをトバしてみてもトゲトゲしさ一切なしに華麗なアシさばき。日本仕様でいうと、ほかにV6の左のQ
システムがノーマルサスだ。
エンジンそのものは、どっちもかなり絶品。TSは、最近だとプジョー306 のS16 に載ってるヤツとかルノー・クリオRSに載ってるヤツとか強烈なのが出てきているけど依然として4
気筒ガソリンでは世界のワン・オブ・ザ・ベスト。またV6は、味わい深さにかけてはV6界で文句なし世界一。いかにも精度が高そうという点ではアウディのV6はスゴいが、乗ってて思わず泣けてくるのはアルファV6だけだ。
音楽なんて聴きたくならないから。ホントに。
でまた、そのV6は6 段MTとセットで乗るともっと泣ける。実は4000rpm 以下がかなりハッキリと細くて、そのアラが4
段AT=Q システムだとけっこうモロに出てしまう。それなり回して使うと。ところが、6 段MTは段数といいギア比の設定といいまさにドンピシャで絶品V6の美味しいところだけを使って走れる。下手すると、ドライバーは下が細いなんて気づきもしない。エンジンの性感帯を知り尽くしている。たまらん。まだ現役か知らないが、AV女優の「やっぱタカさんは違うわ」はこういうピッタリ感をいっていたのか。
一方、TSは車体側とのバランスの絶妙さが実にこたえられない。TSと較べると、「あ、V6ってハナ重いのね」とわかる。ここでも、オススメは基本的にMT。話題のセレスピードは、峠やサーキットで本格的にタイムを詰めるような走りをするとき以外特にウマ味がない。普段はそれこそ、普通のMTを何の苦労もナシにスムーズに運転できる人が普通のMTに乗るとき以上にワザ(自動クラッチが切れるタイミングを見計らってスロットルを抜き気味にする等々)を駆使してやらないと普通のMT並みのスムーズさで走らすことはできない。
アザワイズそうでないと、同乗者から「このヒト運転ヘタ?」と思われてしまう。で、それは好んでわざわざアルファに乗るような種類の人間にとってこのうえもなくハジなことですよ。隣や後ろの彼ないし彼女はセレスピードのアレコレなんて知らないだろうし。
かといって、いくらなんでも高速道路と山道ばっか走るわけにもいかないし。
ただし、セレスピードはシフトダウンをやらせると超絶にウットリできる。あの、スロットルの合いの手の入れかたのウマいこと!ギアやクラッチの離し繋ぎのウんマいこと!モリケータが1000回トライしても、あれほど上手にやれることはたぶん1
回もない。 オタクな話としては、電子制御スロットルのチューニングの上手さというのも重要だ。さすが、イタリア人はクルマの走らせかたをわかってる。プントのCVT
あたりも最高だし。
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サイドステップ無しの本国仕様。 ヤワラカな「くびれ」です。 |
なお、日本仕様だとTS左セレスピードとV6左AT以外は全部それになるシャコタンサスはウットリというよりビックリ。山道でトバすと、まるで海ヘビのように曲がる。FF車に乗って「お願いだからもっとアンダーになって」と心の中で泣きながら祈り続けたのは156
のシャコタンサスが初めてにして今のところ唯一だ(生産公差の問題だったのか二代目FFジェミニの“安全運転速度でドリフトしますよ”リアサスもコワかったけど)
。スポーティをカルく通り越して、これはなんかヤバいクスリでも打ってんじゃないかってぐらいにキレていた。広報車の場合でいうと、1万kmいかないうちにボディがグズグズになっていた。それもナンかヤクっぽい。
そういうワケだから、シャコタンサスの仕様しか乗ったことない人はそれが普通だとは思わないように。慣れてしまったアナタは、すでに相当戻れないとこまできてしまっています。進行度チェックのために、どうにかしてノーマルサスの156
も乗っておきましょう。 ショートホープのあとにタール1mg タバコを吸ったときのような虚無感におそわれた場合、あるいはビールのあとにタカラ・バービカンを飲んだときのような虚無感におそわれた場合、それは危険信号です。 |