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第4回 半額以下で買えるポルシェ911 Alfa Romeo GTV


【森 慶太】
1966年静岡県生まれ。
筑波大卒。
自動車雑誌編集部を経て96年からフリーランスに。
著書に、「乗れるクルマ、乗ってはいけないクルマ」(三笠書房) 「『中古車選び』これだけは知っておけ!」(三笠書房) 「買って得するクルマ損するクルマ―新車購入全371台徹底ガイド」 (講談社)他多数。最近、子供も生まれ、家も建て、ますます精力的に世界中を飛び回っている。


 22歳で免許を取り、自動車雑誌『NAVI』に入社したときにはバリバリの若葉マーク。
廃車寸前の86レビンで夜毎筑波パープルラインに通い、みるみる運転の腕前を上げていった若き日の森慶太は、それから10余年、今や気鋭の自動車ジャーナリスト。
明快な論点、みずみずしい視点、の森慶太が駆る。イタリア車ははたしてどうなのか。


GTV 2.Oツインスパークって知ってます?

 アルファGTVといえば、まず思い出すのはいまから5年か6年ぐらい前GSTで借りた並行モンの個体がちょーゼッピンだったことですか。たしか豊橋とか往復して。あの個体、というかGTVのツインスパークはとにかくヨカッタ。GTVでアレを超える体験は現在までない!っていうぐらい素晴らしかった。日本じゃほとんど手に入れようのないクルマのジマンしてモーシワケないですけど、でもホント。V6と較べてハナ軽いからバランスがモッサイコッCクッキングパパ。乗ったことない皆さんは残念でした……と思ったら、アラまあ、売っていた。

 えーいま、私はナゴヤ発の中古ガイシャ情報誌『GOOワールド』9月号を封筒から取り出して(毎号送ってきてくれるんで)288ページをさがし当てたところです。愛知県豊橋市にあるカーボックス・ヨシダ(0532-88-5588)が取り扱っておりますね。ちなみにホームページのアドレスはhttp://welcome.to/carbox/でヨロシク。車両代は395万円で、当然ながら右ハンになっている心配などなし。では、さっそく電話してみましょう。

「はいカーボックスです」
−−『GOOワールド』の広告見たんですけど、GTVの2.OTSってまだ売ってんですか?
「最近オーダー入ってないですけど、向こうで生産終わったって話はまだ聞いてませんから、大丈夫でしょう」
−−ということは、買えると。
「ええ。ご注文いただいてからってことになりますけどね」
−−あ、わっかりました。どーもー。

 ということで。ま、アルファなんて正規モンも並行モンもかわんねーやみたいなとこあるし。こないだお店来てた正規モン156のお客さんはナントカっていう保険会社入るとイイっていってたなあ。仲間うちじゃお約束、みたいな感じで。チューリッヒ、だったかなあ(気になる人は要確認)。出先でナンかあったときの引き取り関係サービスが正規のサポートより充実してるとかで。

 あと、その人の156(V6のMT)は「トラブってディーラーいかなきゃなんない頻度はスバルよりずっと少ない」。ナンでも、156の前がグランドワゴンだったらしくて。ただ、その156の数少ないトラブルが遠い出先でラジエターだかヒーターだかのホースが破裂して純正のサポートのサービスがけっこうタコだったんで泣きそうになったらしいけど。で、それからはチューリッヒ(じゃないかもしれないから要確認)と。ちなみに加入2年目からが本格的にオイシイらしい。



絶妙なギア比のアルファ6MT

 えーGTV。基本的にはどんな仕様であってもいいクルマです。あのちょー二枚目なスタイルを見ておもわずムクムク膨らんでしまうその想像どおりのよさがちゃんとある。個人的には、ポルシェ911の世界を半額以下で手に入れられるウマ味があるとすら思っている。いままあ、そういういいかたはアレカモ知れないですけど。

 中古や正規モンを買いたい人へのアドバイスとしては、まず右ハンになって以降の年式のクルマは着座位置がちょっと高くなっている。おそらくフロアに側面衝突対策のリブかナンかが入ったせいだと思うけど。で、残念なことにドラポジがちょっとだけ終わってしまった。クルマがクルマだからできれば低くキメたいとこなのに、そこがちょっとオマヌーに。しばらく座ってるとクッションが沈んできてまだしもオッケー方向になったり、あるいはもともと座高が高くないガイジンみたいな体型の人はそんなに苦しくないかもしれないけど、とりあえず要チェックは要チェック。

 

ナンだったら、「絶妙なギア比配分の6MTを味わうためだったらしゃーないわ」という納得のしようもある。というのは、左ハンの正規モンには6段ないから。5段がダメってことは全然ないけど、でもこのクルマというかアルファの場合は6段けっこースゴいから。

 あと、初期にあったV6ターボは排気量その他から想像されるようなドッカン系では特にない。ゆっくり走ってるだけでもけっこうスゴ味あって私は好きです。ボア×ストの関係かターボのオマケ効果かエンジンの回る感触や音は自然吸気のヤツより上質、だったような記憶もある。そういえばこの頃のはツインカムじゃなかったのか。ナントカ・ブッソさんがやったオリジナル設計どおりのヘッドで。ただしV6ターボ、過給関係の補機類のぶんがあるせいでハナは同時期の3.0よりさらに重たい。ヘビメタ、というよりはヘビーメタルなテイストが好きな人にはけっこう堪えられないモノがあるかもしれない。



パパラッチされたカズのGTV

 あと、GTVじゃないけどスパイダーも非常にエエですよ。正規モンでもエンジンは2.0ツインスパークだからバランス最高だし、そらあボデーはハッキリとユルいけどゴリゴリに攻めたりしなけりゃアシさばきは優雅のキワミだし。むしろ、GTVのほうが無理やりつっかい棒張りめぐらしてカタくした感じでアレだったりする(実際ハードウェアとしてはそういう派生のしかたなワケだけど)。GTVが「半額以下で買えるポルシェ911」だったら、スパイダーはさしずめ「あ、昔のスパイダーとおんなじ」。駆動方式とか全然違っても、やりたいことは変わってないんだなと。そういうのがわかる。つまり、より上級者向けですかね。

 あと今回、GTVは手近に1台あったんで乗らしてもらった。お店のタケウチさんのマイカーで3.0のV6。ま、エガッタですよ。5万km弱ぐらい走ってて、「ギアレバーの感触がちょっとグダッてるかな」というのはあったけどおおむねゴキゲン。相変わらず、V6は泣けるイッピンだったし。広報車(インポーターが雑誌とかに貸し出し用にもってるクルマで、簡単にいって普通に自分でカネ出して買った人だったら絶対やらないようなツラい使いかたをされていると思ってください)ばっか乗ってるとわからないけど、アルファってそんなにヤレないんじゃないの?156の広報車なんて、それこそ8000kmで5万kmぶんぐらいイッちゃってたけど。

 えー、段々と収拾がつかなくなってまいりました。最後にもうひとつ、GTVの思い出というかエピソードを。その昔、イタリアのセリエaで頑張ってた頃(クロアチアじゃなかったと思う)のカズがプライベートで乗ってましたね。日本から行った女のアナウンサーと車内で会話してるシーンをテレビで見たことがある。色は黒で、ハンドルは当然左で、あとエンジンの仕様はワカリマヘンでした。あるいはもう記憶がない。V6かどうかはテレビのセコいスピーカーでもわかるような気するんだけどねえ。ちなみにクロアチア、英語圏の発音だと“クロエイシア”って感じです。





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