サラブレッドではないけれど
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リアサスのクローズアップその1。写真暗くてゴメンなさい。 |
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リアサスのクローズアップその2。内側のアームとアンチロールバーが見えますか?
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フロントサスのクローズアップ。
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124系のリアサスは独立懸架じゃないけどコイル+5リンクで、つまり板バネ式よりは新しくて、一方フロントサスはダブルウィッシュボーン。でモノコックボディ。おそらくオールニューで出たのだろうけど、当時としてはごくごく普通の特に古くも新しくもない設計だったといっていいと思う(その点、カローラはフロントサスにマクファーソンストラットを使っていた)。で、そこは今回のスパイダーも同じ。サラブレッドよりもばんえい競馬に近いと。
なお、マクファーソンストラットのマクファーソンというのはこの方式を考案した人の名字。フォードかどこかにいたエンジニアで、ロワーのみのアーム+ステアリングキングピン(とあとバネの受け皿)を兼ねるダンパーストラット、という簡潔な構成は要するに部品点数が少なくて軽量でイイと。合理化できてメーカーがモーカるし、フリクションも減るから乗り心地もよくなると。それに、ジオメトリーの変化特性も素性が悪くないと。いまではすっかりアタリマエの方式だけど、60年代の自動車テクノロジー界ではけっこう革命的だったのですよ。いってみれば、レストランで料理人にホールやソムリエの仕事もかけもちさせちゃうような発想が。
ということで、ご参考までに124スパイダーの前後サスまわりの写真もご紹介。写真はないけど、たとえばフロントまわりは旧アルファ・スパイダー(1962年〜のジュリア系そのもの)と較べると見た目にスッキリわかりやすい。リアまわりを見ても、さすがに伸び側のストロークをバンド(というかワッカ)で規制したりはしていない。横方向はしっかりとパナールロッドが支えているので、左右1本ずつの前後方向アーム+デフのところを前から吊ってるだけのアルファと違って後車軸のユラユラ(あれはあれでアジも意味もあるけれど)はないでしょう。車体側につけられたバンプストップラバーと、ほかにごく細いアンチロールバーが見える。
124のホイールベースは2280mm。セダンの場合より140mm短くて、絶対的にもハッキリ短い(旧アルファ・スパイダーは2250mmとさらに短い)。マツダ・ロードスターより1.5cm長いだけ……なのにリアシートらしき場所がちゃんとあるのは、ひとつにはエンジンや乗員の位置がクルマ全体のうちわりと前のほうに寄っているから。それと、燃料タンクがトランク左下にあるから(ロードスターの場合は幌を畳み込む場所の下のほう)。
車検証記載値で1080kgの車重は、これまた簡単にいってロードスターなみ。でもって、エンジンは2.0。アウレリオ・ランプレディさん設計のベルト駆動ツインカムは、デルタ・インテグラーレやテーマのターボに乗っていたユニットと系列としては同じもの。試乗車は、もともとインジェクションだったのが都合(おそらくコワれたのをてっとり早く安くなおすため)によりキャブに変更されていた。このテにはありがちなケース。
おおスポーツカー! というにはちょっとジミめであるけれどそれだけに玄人好みでかつ味わい深い、そしていかにも煮たらよくダシの出そうなスタイルはbyピニンファリーナ。ご存じのとおり旧アルファ・スパイダーをやったのと同じとこ。その2台を較べるかぎりは明確なキャラの作り分けがされていたのだなと思えるけれど、でも124スパイダーはプジョー504カブリオレとはけっこうソックリ。特に、全体のプロポーションと後ろ姿が。アルファ164とプジョー605のニアミス事件を指摘するまでもなくピニンの作品にはよくあることで、書く媒体によって文体があっちゃこっちゃ変わる私とは心構えが違うという。 |