悪妻、ソクラテスを育てる
164Q4最大の見どころというか味わいどころは、そのズッシリとしたクルマの動きや乗り心地にあるとワタシは思う。
エンジンの鳴きのよさだけなら、FFのクワドリフォリオでも基本的に同じ世界をタンノーできる。けど、このズッシリ感はQ4にしかない。だいたい、ヨンクはイッキに200kgぐらい重くなるし。クワドリフォリオはけっこうジャジャ馬なんだけど、でもQ4はズッシリ、かつしっとり。それでいて退屈では全然ない身のこなし……というあたりがタマランわけですよ。乗ると。冗談抜き、「キミの瞳に乾杯」(ハンフリー・ボガート)なんてテレもせずいえそうな気分になってくる。エアコンさえ完調だったら(笑)。とにかく濃いのよ。
アタリマエっちゃあアタリマエだけど、ヨンクはたんにオモリになってるだけじゃなくて操縦性にも効いている。攻めてもクワドリフォリオみたくフロントがアバれないし、ゴトーさんによると「タイヤは後ろのほうが速く減る」らしいし。あとナニより、「圧雪路面の関越道で、164Q4は無敵です」ってのは大きいでしょう。さすがヨンクで、楽しいだけじゃなくしっかり安全。
大幅重量増にあわせて、ギア比もハッキリと低くなっている。なにしろ、6段MTの6速はいわゆるオーバードライブではまったくない(6速でメいっぱいかそれよりもっと上まで回して最高速、というエンスーな設定ですよ)。フツーのクルマが2速で回る信号の曲がり角も、164Q4だったら3速でオッケー。専用チューンのV6はヒャンヒャン回るというより荘厳な、それこそ拝みたくなるようなアジのイッピンなんだけど、それの美味しい部分を市街地をフツーに走ってるときでもタンノー可。別に暴走しなくてもいい。タマランですよ。
ところで。ゴトーさんの愛車が155(後期TSスポルティーバ)だったとき、ディーラーから電話がかかってきたそうだ。いわく、「おクルマの調子はいかがでしょうか?」。ゴトーさん答えていわく、「なんの問題もありません」。そしたらディーラーの担当者いわく、「おかしいですねえ。すぐにもってきてください」。ってこれ、作り話じゃないですよ。そういう感じの体験が75のときも含めて数々あって、それで「すっかり鍛えられた」おかげで164Q4しかもヘーコーもんを平気で買って乗っていられるようになったという。悪妻、ソクラテスを育てる。なんちゃって。
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