オーナー、挨拶がわりにエンスト10回
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大黒パーキングの“大型車専用”スペースにて。 |
'01モデルつまり最終型のディアブロ6.0VTは運転しやすかった。パワステはついてたし、クラッチペダル踏力はフツーの重さだったし。それと、ルームミラー経由の真後ろの視界も望外にヨカッタ。斜め後方視界もあった(笑)。あと、ステー本体ともにちょー横長のドアミラーがめちゃめちゃ効果的でよく見えて。
ただし、発進時にフとしたはずみで駆動系全体がガクガクガクッとシェイクしちゃうのを回避するにはちょっと慣れが必要(オーナーの運転だと全っ然出なかった)。あと、排気触媒を冷やすために(!)常にON状態のエアコンの冷気を人間様にもまわしていただくのは渋滞下では不可。アイドリングが不安定になってエンストしちゃうから。なにより、横にオーナーさえ乗ってなけりゃねえ(笑)。もっとリラックスしてやれたんだろうけど。
全体としてはこれ、かなりゴキゲンですよ。運転しやすいつっても基本的にはディアブロだから、フツーにコロがしてるだけで満足感ありまくり。「あーもー見て見て。ディアブロをへーぜんと動かしてるこのオレを」って感じでサイコー。とか思いつつエンストこいたりしながら乗らしてもらったですよ。
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アイドリングしてる近くに寄るだけでかなり暑い。 |
フツーに発進するだけでひと苦労とか、あるいは渋滞下で左足がツりそうになったりとかだと、これはけっこうイヤになる。かといって、誰が乗ってもスイスイ走れちゃうようだとあっけなくてツマンない。'01ディアブロは、そのへんの塩梅が絶妙なモノになっていた。乗った人の話によるとムルシエラゴはすごい運転しやすいらしいけど、要するにこれの延長線上にあるんだろうなあ。と納得。もう十年超も昔のことだけど、初期型のディアブロは、見ても乗ってももっとずっとトンでもないザツなクルマだった。たぶん。
ちなみにオーナーさんは、そのムルシエラゴが出るとわかって、あるいはムルシエラゴの姿が明らかになって、急いで最終型ディアブロを新車で買ったという。晴れて納車されたディアブロに乗ってお店を出て、10mちょっと先の信号までの間に「10回とかエンストしちゃいましたよ」ときいて、今回二度ほどエンストした私もちょっと安心。
それじゃ悔しいってんでオーナーさん、当初は夜な夜な埠頭方面へ出かけて練習したそうである。縦列駐車とかイロイロ。どーりで上手いわ。首都高とか普通に走ってるときの感じを横で見てても、この人は明らかに運転上手そうだった(ドリキンとか清水和夫とか岡崎教授とか各種有名ドライバーの横乗った私であるから助手席グルメとしてはめちゃめちゃエキスパートなのよ)。
オーナー、300km/h出した(らしい)
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7500をちょっと超えたあたりからレッドゾーン。 |
でね、やっぱホラききたいじゃないですか。お約束で。いったいどこまで出したのかって。したら、メーター上サンビャクは普通だって。サンビャクってそれ、回転数ですか?
アイドリングでもそこまで低くねえっての。「さすがに、そっから上いくとハンドル持つ手にちょっと力入る感じですね」とかいいやがって。主として仕事終わった夜中にトバすそうだ。クイーンとかフルボリュームで鳴らしながら(アブねえ)。その日にあったヤなこととか、全部忘れちゃう。ちなみにディアブロ6.0VT、メーカー公称の最高速度は「330km/h超」。
メーター上、5速80km/hがたしか1800rpmだった。ってことは、5速100km/hだと2250rpm。3倍して、6750rpmで300km/hに達する計算だ。7425rpmで330km/h、ということになっちゃう計算でもあるからあくまでご参考(なにしろ最高出力=550psは@7100rpm)。5速100km/hが1700rpmとして計算すると330km/hの際に7000rpm強となってかなりホントっぽい。どうでもいいけど、旧型カローラ1500のATもOD4速で100km/hが2250rpmだったと記憶している。いや2150rpmだったかな。どうでもいいけど。
とにかくこのエンジンは、トルクある。それはもう、めっちゃくちゃ、ある。最初はこころもち不機嫌気味なのが4000rpm手前あたりから爆発のビートが揃いはじめて、で……あとは知らない。買ったら味わいます。
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リクライン調整に加えて、シュクラのランバーサポート調整も!
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いわゆるV12ってことで想像されがちなキレイ系美人系の鳴きでないことは間違いない。もっとずっと、野性的。たぶん、ホントにパワー(というかトルクか)の出てるエンジンはそうなんだと思う。これと較べちゃうと、テスタロッサあたりの12気筒は養殖モン(NEKOの雑誌じゃ掲載コードに触れますよ、こういう記述は)。その昔F1出てたランボのV12も、誰もが認めるイイ鳴き、あるいは泣きだったじゃないですか。アアアアアァーン系の。でもオソかった。
乗ってみて驚いたのは、乗り心地が非常にヨカッタこと。P-ZEROのおかげもあったのか。オーナーさんによると、横にコドモのっけるとそのうちスヤスヤ眠っちゃうらしい。あとシート(前後スライドのほかリクライン調整もちょっとだけ可能)が絶品。肉ウスいのに、最高のフィット感。パッと座って、それこそ降りるまで身じろぎひとつしないまま終わる。ドラポジもめちゃめちゃ良好(ステアリングはチルト、テレスコ両方を調整可)。足側と腕側の操作力の重さのバランスも文句なし。
ということで、'01のディアブロ6.0VTは、ある意味そこらの日本車よりずっとマトモ。かなりトンでもないクルマのタダモノでないパフォーマンスを実用的に味わおうとしたら、運転環境はまさにこうでなくてはいけない。ゴー&ストップの繰り返しじゃない状況だったらエアコンもちゃーんと効くし。というか、使えるし。
オーナー、キシみ音に悩む
これより先私から申し上げられることはあまり残っておりませんが、たとえばオイル交換一回の費用が15万円だか8万円だかかかるとか。あるいは、アウディ傘下に入ったおかげで改善されたのか内装はじめ各部の作りの品質感が非常に(あるいは価格相応に)高レベルであるとか。カウンタックと違って窓がちゃんと開くのはエアコンOFF時に非常に有効だとか。そんな感じ。なお今回の個体、走行距離は3000kmほどだった。オーナーさんによると、ド新車の頃と較べて各種キシみ音はだいぶ増えたらしい。初めて乗ったワタシにとっては全然気にならないレベルだったけど。
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室内の作りの品質感はかなり高レベル。 |
今回チョイ乗りするまでディアブロに関しては個人的に「別に(乗らなくても)いいや」だったけど、でも乗ってヨカッタ。少なくとも、'01の6.0はオススメできます。写真見て「ほしい」と思った人は思い切ってGO!してヨシ。試乗はサッサと終わらしてテキトーなこと書きゃいいやと思ってたけど、正直もっと乗りたくなっちゃった。「あーもーたくさんたくさん」じゃ全然なくて。
たとえばイッキに500kmとか走ってみたい。500kmじゃなくてもいいけど、少なくとも発進時のカックンカックンを出さずにへーぜんと乗れるようにはゼヒなりたい。車庫入れとか縦列駐車の練習はしたくないけど、せめてあと1時間ワタシにください!って感じでもうねえ。やってみたい。うーん。トンでもないクルマなんだけどワケわからん系では必ずしもないっていう、さっきも書いたけどその絶妙なバランスがそう思わせるのではないか。
自分ちのガレージに置いといて、半年とか1年とかかけながら徐々に徐々にクルマと仲良くなっていく。深い仲になっていく。という感じのつきあい方ができますね。きっと。こういうディアブロだと。その意味で、きわめて実用的ともいえる。それらしく楽しむためにサーキット行ったりする必要もないし。ポルシェほどアシっぽくないし、フェラーリほどイージーにエクスタシー系でもなくて。
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自転車のオジサンも停まって眺めずにはいられない。 |
あとそう、くだらないっちゃあくだらないことなんだけど実は根本的に大事な部分として名前がね。“ディアブロ”ってやっぱ絶妙にイイ響きだと思う。あたしなんか、何度も口でしちゃう。じゃなかった口にしちゃう。口にしただけでちょっとイキそう。“フェラーリ”や“アルファロメオ”に負けてない。その点、“カウンタック”とか“ムルシエなんとか”はいまいち奥のほうまでズンとこない。シマリがよくない。ダンピング不足。オマエはサッカーの監督か。それはトルシエ。
ということでディアブロ、よござんした。と書いたあとでイチャモンつけるわけでもないんだけど、でもプントもいい。感動の深さという点でどっちも等価。ちなみにワタクシ、このディアブロの次の仕事相手は2年間不動の88年型フィアット・レガータ100Sでした。 |